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街道をゆく40 台湾紀行 司馬遼太郎

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街道をゆく40 台湾紀行 司馬遼太郎 朝日文庫

「国家とは何か」をテーマとし台湾を描いた長編旅行記です。
1993、94年に台北 高雄 台東 花連を訪ねた時のものです。

訪れた各地の歴史的悲話や感動シーンは、すでに他の著者も書籍にしているものですが、
司馬遼太郎ならではの世界史に基づいたわかりやすい説明が多くてうれしい。
台湾の史実と日本、世界の歴史の位置関係が明確なので、新たな理解となりました。


当時の総統李登輝は、司馬遼太郎を友達として紹介しています。
この本でも二人の対談が番外編として載せてあります。
そして「誰よりも大陸中国のひとたちに読んでもらいたいと思っている。」と記してあります。


本文の蒋経国(蒋介石の長男)が李登輝を副総統にした経緯の部分。
「蒋家の者が権力を継承する事はない」と宣言し1985年厳戒令を解除しました。
そして「台湾はやがてあなたたち(本島人)のものになる」と発言し、
後継者を歴とした台湾人で穏やかな学者である李登輝氏にした。
「蒋経国は、私としての権力の命数を良く知っていた人で、台湾人の俊才を認めていた」、
またこの事は、「台湾の人々の表情が一挙に穏やかになった」とあります。

蒋経国は、蒋介石の長男でありながらも、時代の変化や国民のために
冷静かつ公平な判断をした英雄ではないのでしょうか。


それから私が特に感動したのは、

著者と同行していたN氏は、台北で生まれた鹿児島県の「湾生」でした。
湾生とは、日本の統治時代に日本人の子として台湾に生まれた人のこと。
旅の途中のある学校の陸上競技場を見るや否や 荷物を放り出し、上着を脱ぎ、トラックに入り走り出した。
どうやら往年の競技場を走る事によって、追憶と言う細胞に酵素を入れようとしているのかもしれなかった。
やがて戻って来てだまって上着をひろった。

人は、詩を言葉だけで書くものではなさそうだということを、ほのかに思わせられた。
by izumi_symphony | 2012-10-28 15:51 | 台湾関係書籍